映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』レビュー
作品情報
キアヌ・リーヴス主演シリーズ第4作「ジョンウィック:コンセクエンス」。
前作「ジョンウィック:パラベラム」から3年。“バーバ・ヤーガ”が返ってきた!
今作で前作からの直接の続編で、主席連合との全面戦争へと発展し世界中の殺し屋から狙われることになる。ジョンは組織の縛りから自由になるべく、ついに裏社会を牛耳る「主席連合」との決着へ向けてジョンが動き出す。
監督を務めたのは、全シリーズを製作してきたチャド・スタエルスキ。
主演はキアヌ・リーヴス、そしてシリーズおなじみのイアン・マクシェーン、ローレンス・フィッシュバーンたちに加え、今回は準主演として「イップ・マン」のドニー・イェンが出演。さらに日本からは「ブレット・トレイン」の真田広之も出演している。
日本でのキャッチコピーは「報いを受ける時がきた」。はたしてジョンはいったいどんな報いを受けることになるのか、、、
世界77カ国で初登場No.1、シリーズ最大ヒットを記録したジョン・ウィック作品史上最高のノンストップ・キリングアクションがいま始まる!
あらすじ
裏社会の掟を破り、粛清の包囲網から生還した伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。地下に身を潜め、全てを牛耳る組織:主席連合から自由になるために立ち上がった。 組織内での権力を得た若き高官グラモンは、聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破、ジョンの旧友でもあった盲目の達人ケインを強引に引き入れ、ジョン・ウィック狩りに乗り出す。そんな中、日本の友人、シマヅの協力を求めてジョンが大阪のコンチネンタルホテルに現れる・・・。果たしてジョンは、かつて忠誠を誓った世界との決着をつけて、真の自由を手にすることができるのか!?
感想
今までで1番、濃密で濃厚なアクション映画でした!
シリーズ第1作目から約10年間、ありがとうございました!
最高のアクション
アクション映画好きのひとには最高の160分でした。
この作品が他のアクション作品と違うのはアクション中にカメラをアクションに合わせて動かしたりせずに、あまり動かさないようにしてしっかりアクションを見せてくれるところです。
そのため少し物足りなさは感じはしますが、アクションの動きをきっちり構築していないと出来ないことなので、監督のアクションへの愛を感じました。
前作に続きガンフーだけではなく、ナイフ、ヌンチャクなどの武器ととカンフーを合わせた技で、車、馬上、階段と様々なシチュエーションで多彩な爽快アクションを繰り広げてくれます。
印象に残ったのはカーアクション、廃墟での戦闘、階段でのアクションでした。
凱旋門の感情交差点で目の前を行きかう車を利用して大勢の殺し屋をなぎ倒していく。美しい街並みとは対照的にそこで行われている殺し合いは、車に轢かれてしまうではないのかというヒヤヒヤ感と敵をなぎ倒していく爽快感で手に汗を握るシーンでした。
廃墟では天井から見下ろしでカットを入れずに長回しで撮影という手法を使っていて、さながらFPSゲームの大会を見ているような斬新な感覚で面白い映像となっています。
ここで敵が持っている発砲すると炎が立ち上がるドラゴンブレス弾が装填されたショットガンを奪い取ってのジョンの戦闘は、押し寄せる大勢の刺客が打たれるたびに炎上するという壮絶な光景であるのですが、廃墟で立ち上る火花や炎は美しくもある光景で目の奥に焼き付いて離れませんでした。
決闘の地へとつながる階段での戦闘では、頂上付近で敵にやられ転げ落ちまた振り出しに戻るはめに。しかし、そこへドニー・イェン扮する盲目の殺し屋ケインの参戦、これから決闘する敵であるはずのケインと共闘は胸が高鳴りました。
ジョンとケインの息の合った戦闘は華麗で、2人のお互いの友情を感じさせるようなやり取りは、これから命を懸けた戦いをすると分かっている私には、胸を締め付けられるような感情が芽生えました。
新登場のキャラクターが最高!
今作では新たに、大阪コンチネンタル・ホテル支配人「シマヅ」、盲目の殺し屋「ケイン」、犬を連れた賞金稼ぎ「トラッカー」が登場します。なんだかゲームの「No More Heroes」を想起させられ私の中二心がくすぐられました。
その中でも特に最高だったのは「ケイン」。
はじめは目が見えない殺し屋と聞いて「そんなんでジョンと闘えるのか?」と完全にナメていましたが、ふたを開けてみたらちゃんと闘えるどころか互角の以上の闘いを繰り広げていました。
アクションはさすがは中国のアクションスターだと思わされるほどの動きのキレのよさでした。目が見えないという要素を残しつつも、素手、銃、刀を使ってのアクションは座頭市を彷彿とさせるものがあり、コミカルにアレンジされたアクションには座頭市とは違うかっこよさがあり心がひきつけられるものがありました。
もともとは友人だったが、娘を人質にとられジョンの殺害を強いられるという設定が、感情のない殺し屋というよりも殺したくないが娘を助けるため殺らなければならないという葛藤が垣間見え、そういった人間臭さが感情移入できる要素だったのだと思います。
映画をみる時はぜひ注目してみてください。
最後に
シリーズ第1作から見続けてきた作品の完結?ということで、世界を股に掛けた壮大なストーリーで見事にフィナーレを飾って言います。私としては完結を見れる喜びと、終わってしまう悲しみとが入り混じった複雑な感情です。
この作品の全体見てみるといくつか引っかかる所があるものの、160分という上映時間が物語るとおりやりたい事をやり切ったアクション映画史に語り継がれるであろう素晴らしい作品だったと思います。
エンドクレジット後に続編を示唆するような映像があったので、続編になるのかスピンオフになるのか分かりませんが楽しみに待っていようと思います。