映画『アンブレイカブル』レビュー
作品情報
「シックス・センス」の監督「M・ナイト・シャマラン」と「ブルース・ウィリス」が再タッグを組んだSFサスペンス映画です。イライジャ役に「パルプ・フィクション」の「サミュエル・L・ジャクソン」。2016年には本作と同じ世界を舞台に描いた続編的作品「スプリット」、2019年にはさらにその続編「ミスター・ガラス」が製作された三部作の作品となっています。単体でも続けて見ても楽しめる作品です。
キャスト
- デイウヴィッド・ダン/ブルース・ウィリス
- イライジャ・プライス/サミュエル・L・ジャクソン
- オードリー・ダン/ロビン・ライト
- ジョセフ・ダン/スペンサー・トリート・クラーク
- イライジャの母/シャーレイン・ウッダード
スタッフ
- 監督/M・ナイト・シャマラン
- 製作/M・ナイト・シャマラン, バリー・メンデル サム・マーサー
- 製作総指揮/ゲイリー・バーバー, ロジャー・バーンバウム
- 脚本/M・ナイト・シャマラン
- 撮影/エドゥアルド・セラ
- 美術/ラリー・フルトン
- 衣装/ジョアンナ・ジョンストン
- 編集/ディラン・ティチェナー
- 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード
あらすじ
謎はまだ解かれていない――。M.ナイト・シャマラン監督が放つ衝撃のサスペンス・スリラー。フィラデルフィアで、131人もの乗員・乗客が死亡するという凄惨な列車事故が発生。だが、たった一人、奇跡の生存者がいた。その男デヴィッド(ブルース・ウィリス)は、マスコミや周囲の者たちの異様な視線に戸惑う。「なぜ、俺だけが?」誰よりも彼自身がその答えを求めていた。ある日、イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)と名乗る男が現れ、デヴィッドこそ不滅の肉体を持つ者≪アンブレイカブル≫であると告げる。その言葉をきっかけに、デヴィッドは自己の存在意義を問うようになる。そして、それは恐るべき真実への幕開けだった…。
公式サイトより引用 https://www.waltdisneystudios.jp/studio/others/0283
感想
新しいスーパーヒーローの解釈
主人公のデヴィッド・ダンは、アメフト会場のしがない中年警備員をしつつ、妻と息子の3人でくらしている平凡な男ですが、フィラデルフィアで乗客131人が死亡するという列車事故で唯一無傷で生き残ったことをきっかけにコミックオタクのイライジャ・プライスと出会い人生が変わっていきます。
イライジャは些細なことでも骨折してしまう骨形成不全症という難病を持って生まれ、これまでに数え切れないほど骨折を繰り返していたため周りには「ミスター・ガラス」と揶揄されていました。
そんな彼が「自分の様に脆い体とは対局の存在がいるのでは?」と考え調べていたところに、主人公の身に降り注いだ列車事故の事を知りコンタクトをとり、主人公はスーパーヒーローなのだと説得していきます。
私はこれまで見てきたスパイダーマンやスーパーマンなどのヒーローの映画と比べてしまうと「少し弱すぎないか?」と最初は感じてしまいましたが、ストーリー後半に行くにつれて逆にそこまで強くないところにリアリティがあり、本当にいるんじゃと考えさせられむしろストーリーにのめり込んでしまいました。
主人公のヒーローとしての能力は、列車事故に合っても怪我をしない強靭な肉体と悪を感知する力があります。強靭な肉体といっても怪我や病気にならないだけで力は常人よりも少し強い程度です。そのため、スーパーマンやスパイダーマンなどのヒーロー達のように殴った人が数十メートル吹っ飛ぶようなことはありません。当時の私が想像していたヒーロー像とはかけ離れていて衝撃をうけました。
巧妙な伏線と衝撃的なラスト
映画は主人公がイライジャとの会話がメインで進行していき、
ふたりがやり取りするに連れて、主人公のダンの心情がへんかしていき、自分自身は本当にスーパーヒーローなのかを確かめていく過程を描いていきます。
ヒーローであることを確信していくことで、変化していく主人公の感情が家族との関係を変化させていき、ヒーローと父親との間て葛藤するようすを、デヴィッド・ダンを演じるブルース・ウィリス、イライジャ・プライスを演じるサミュエル・L・ジャクソン、デヴィッドの妻オードリーを演じるロビン・ライトなど、演技派俳優たちが熱演を繰り広げています。
基本的には日常的な内容のストーリーですが、映画全体に巧妙な伏線が散りばめられており、ラストにそれらがつながった時には衝撃がはしりました。
スーパーヒーローが活躍するのを期待していた私には、少しがっかりな部分もありましたが、予想外の結末はそれを覆すほど私に深い印象を与えてくれました。
独特な映像美
シャマラン監督らしい独特でダークな映像美も本作の見どころの1つです。仄暗い色調や陰影を効果的に使った画面は、演者たちの表情を繊細に描き出し作品に知ってはならない真実に近づいていくような、不思議で独特な雰囲気を与えています。
シャマラン監督は映画監督になる前は医学を勉強していたので、解離性同一性障害(多重人格)などの描き方もリアルなのかなと感じました。
最後に
少ない登場人物で物語が進んでいくので一人一人にしっかり感情移入して見れるため、ラストの衝撃はとてつもないモノでした。派手な演出が少ないところなどは低予算なのかなとも感じられましたが、私的にはそこがむしろ現実にもいるかもしれないというリアリティに繋がっていたように感じます。
幼かったころの私に衝撃を与えた忘れられない作品です。オススメですので是非ご覧ください。