gtag.js
アニメ

『寄宿学校のジュリエット』― 禁断の恋が描く、王道と純愛の最上級ラブコメ

寄宿学校のジュリエット
tarumaki

作品情報

『寄宿学校のジュリエット』は、金田陽介さんによる漫画が原作で、2018年にアニメ化された学園ラブコメディです。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をモチーフにした、敵対する寮のリーダー同士の秘密の恋を描いています。

この作品の魅力は、敵同士として激しく戦いながら、二人きりになると甘い時間を過ごすという秘密のドキドキ感です。二人の恋路を邪魔しようとする敵対勢力や、個性豊かな寮の仲間たちが次々と現れ、秘密のデートやトラブルが絶えません。露壬雄の一途な想いと、ペルシアの強さと優しさが光る、笑いあり、感動ありのラブコメディです!

あらすじ

この恋は、秘密―。

寄宿学校、ダリア学園。孤島に佇むこの名門校には、敵対する2つの国の生徒が通い、日々、争いを繰り返していた……。

そんな状況の中、東和国寮の1年生リーダー、犬塚露壬雄と、ウェスト公国寮の1年生リーダー、ジュリエット・ペルシアは、実は秘密の恋人同士!

犬塚の告白ではじまったこの恋は、学園中の誰にも!絶対!!何があっても!!!バレちゃダメ!

「別冊少年マガジン」での連載開始時から話題沸騰の学園ラブコメ。
その爆発的な人気は、「週刊少年マガジン」への異例の電撃移籍を経て、今なお加速中。最新11巻までの累計部数は220万部を突破!

TVアニメは、『恋と嘘』や『アルスラーン戦記』を手掛けたライデンフィルムが制作。監督に『山田くんと7人の魔女』『恋と嘘』の宅野誠起、 シリーズ構成に『四月は君の嘘』『七つの大罪 戒めの復活』の吉岡たかをを迎え、他にも注目のスタッフが大集結!

絶対内緒の学園ラブコメ、開幕!!!

禁じられた恋の甘さと切なさ

 「敵対するふたつの国の生徒が通う学園」「絶対にバレてはいけない秘密の恋」――この言葉だけで、観る前から胸が高鳴ります。アニメ『寄宿学校のジュリエット』は、そのシェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を下地にしながらも、悲劇ではなく笑顔と希望に満ちた学園ラブコメとして描かれた、まさに“現代の青春寓話”です。
 初めて観たときは「王道だな」と思いました。しかし、見進めるうちにその“王道”の中に詰まった純粋な感情、真っ直ぐな愛、そしてキャラクターたちの人間味に心を掴まれ、気づけば作業の手を止めて画面に見入っていました。
 そう、この作品は“古臭さ”ではなく“王道を磨き抜いた美しさ”を持っています。派手な展開ではなく、恋の喜びや痛み、秘密を共有するドキドキ感を、誠実な筆致で描いているのです。

王道の美学――愛のために戦う少年と少女

 舞台は孤島に建つ名門校「ダリア学園」。そこでは、敵対する二つの国家――東和国とウェスト公国の生徒たちが「黒犬の寮」「白猫の寮」に分かれ、常に対立関係にありました。
 そんな中、「黒犬の寮」リーダーである犬塚露壬雄(いぬづかろみお)は、宿敵「白猫の寮」のリーダー、ジュリエット・ペルシアに恋をしてしまいます。敵同士でありながら、彼は真っ直ぐな心で想いを伝え、彼女もその告白を受け入れる――この瞬間から、彼らの“秘密の恋”が始まります。

 ペルシアは凛として強く、仲間思いの完璧なリーダー。一方の犬塚は熱血で真っ直ぐ、少し不器用だけれど誰よりも誠実です。この二人の恋は、決して軽くない。敵対する者同士が手を取り合うことの重みを理解したうえで、それでも「あなたが好き」と言える勇気。その純粋さがこの作品を特別なものにしています。
 秘密を抱えながらも、恋に浮かれ、葛藤し、時にはすれ違う。そんなふたりの関係は観る人の心をくすぐり、どこか懐かしい青春の香りを運んできます。ペルシアの声を演じる茅野愛衣さんの穏やかで柔らかな声が、彼女の清楚さと内に秘めた情熱を完璧に表現しており、まさに“声で恋に落ちる”感覚を味わえます。

キャラクターたちが織りなす学園青春群像劇

 『寄宿学校のジュリエット』の魅力は、主人公とヒロインだけにとどまりません。物語を彩るサブキャラクターたちも、みな強い個性と想いを持っています。
 特に印象的なのが、犬塚の幼馴染・狛井蓮季(こまい れんき)。彼女は成績優秀で面倒見が良く、犬塚をずっと陰で支え続けてきた少女です。彼女の恋は報われない――いわゆる「幼馴染枠の宿命」を背負いながらも、恋する気持ちを押し殺し、友として、仲間として、彼の幸せを願う姿は涙を誘います。
 恋に敗れてもなお、相手を思いやる優しさ。それが蓮季の魅力であり、この作品が単なるラブコメにとどまらない理由でもあります。

 また、シャル姫(CV:嶋村侑)、王胡蝶(CV:日高里菜)、王手李亜(CV:悠木碧)など、ヒロインたちの個性も豊かで、恋だけでなく友情や信頼の物語としても厚みを感じさせます。キャラクターデザインは古典的でありながらも洗練されており、感情の動きを丁寧に描く作画が心地よい。
 中でも注目すべきは、恋と戦いが交錯する「学園」という閉ざされた舞台装置。限られた空間で芽生える恋は、どんなファンタジーよりもリアルで、観る者の記憶を呼び覚まします。

悲劇を笑顔に変える、現代版『ロミオとジュリエット

 シェイクスピアの原作『ロミオとジュリエット』では、恋は悲劇に終わります。しかし、『寄宿学校のジュリエット』はその“運命”を書き換え、愛が希望へと変わる物語にしています。敵対する二人が愛を貫く姿は同じでも、この作品は「悲しみ」ではなく「前向きな勇気」を描いているのです。

 そのテーマを象徴するのが、オープニング曲・fripSideの「Love with You」。軽快でありながらも情熱的なメロディが、ふたりの恋の疾走感と希望を見事に表現しています。エンディング「いつか世界が変わるまで」(飯田里穂)もまた、愛を通じて世界を少しずつ変えていくという物語のメッセージと響き合っています。

 全12話という短い構成ながら、作品全体には明確な芯があります。それは「愛は変化を生む力」ということ。恋をしたことで犬塚とペルシアは変わり、そして周囲の人々もまた変わっていく。最初は秘密から始まった恋が、やがて学園全体を動かしていく――この成長の軌跡が、本作をただの学園ラブコメから“青春群像劇”へと昇華させているのです。

真っ直ぐな恋こそ、最も眩しい

 『寄宿学校のジュリエット』は、派手さも奇抜さもない、けれど心を温める真っ直ぐなラブストーリーです。
 禁じられた恋という題材は古典的ですが、そこに描かれるのは現代の私たちにも通じる「想いを貫く強さ」と「愛による変化の力」。ペルシアの微笑み、犬塚の真っ直ぐな瞳、そして二人を取り巻く仲間たち――そのすべてが愛おしく、見終わったあとには穏やかな幸福感が残ります。
 もしあなたが、最近のアニメに“真っ直ぐな恋”を見つけられなくなっているなら、『寄宿学校のジュリエット』はきっと心を癒してくれるでしょう。悲劇を笑顔に変えた愛の物語。その純粋さこそが、王道ラブコメの真髄なのです。


スタッフ・キャスト

キャスト

スタッフ

(C)金田陽介・講談社/寄宿学校のジュリエット製作委員会

ABOUT ME
tarumaki
tarumaki
ゲーム制作会社で働いてます。
最新作から過去作まで好きな作品を紹介して、少しでも業界の応援になればと思いつつに書いていこうと思います。 基本的に批判的な意見は書かないようにしています。
記事URLをコピーしました