『B型H系』―未熟さと下ネタに彩られた青春の甘酸っぱさ

作品情報
『B型H系』は、さんりようこさんによる漫画が原作で、2010年にアニメ化された学園ラブコメディです。
この作品の魅力は、山田の大胆で直球な言動から生まれるハイテンションなギャグです。エロティックなテーマを扱いながらも、その描写は決して下品ではなく、コミカルで可愛らしく描かれています。また、登場人物たちの恋の行方や、山田の意外な一面が描かれていて、ただのコメディではない、彼女の心の成長も感じられる作品です!
あらすじ
H(エチトモ)友達100人できるかな♪
超絶美少女・山田・処女! 妄想フルスロットル!!誰もがうらやむ美少女高校生・山田。男性とつきあった経験のない彼女だが、エッチへの興味は人一倍! ある日、書店で出会った同じ高校に通う平凡な少年・小須田崇を、やり慣れてなさそうで手頃そうという理由で初体験の相手に決めるのだが…。経験ゼロな山田の行動は暴走気味…。はたして小須田を落とすことができるのか!?





恥ずかしくて懐かしい思い出を呼び覚ますアニメ!
アニメ『B型H系』を観たとき、私はほとんど事前知識を持たず、ただ「ギャグ作品」という程度で再生ボタンを押しました。結果として待っていたのは、大笑いというよりも、思わず顔を赤らめてしまうような甘酸っぱくも恥ずかしい青春模様。未成熟な男女のすれ違い、勘違い、そして下ネタに彩られたやり取りの数々は、中学時代の青く拙い記憶を鮮やかに呼び覚ましてくれるものでした。
ビッチでバージン? 主人公・山田の矛盾が生む面白さ
主人公・山田は「エッチ友100人作る!」と豪語する女子高生。しかしその実態は、男子と会話することすらまともにできない超奥手のバージン。外見は学内でも屈指の美少女でありながら、頭の中は性欲まみれ、実際の経験値はゼロ。そんな「ビッチ思想」と「乙女的純情」のギャップが、この作品最大の笑いどころです。
ツンデレで高飛車に見えつつ、いざとなれば臆病で赤面してしまう。自信満々に友人へ下ネタを口にしても、実際は知識だけの耳年増。こうした二面性が物語を引っ張り、読者や視聴者は「あるある」と共感しつつ、恥ずかしさで身悶えしてしまうのです。
小須田という存在―草食系男子の初々しさ
山田がターゲットに選んだのは、本屋で偶然見かけた平凡な男子、小須田。見た目はさえない童貞くんですが、その「未経験」であるがゆえの初々しさが山田を惹きつけていきます。彼は特別な勇気もカリスマ性もありません。ただ、山田に振り回されながらも徐々に意識していき、スキンシップや些細なやり取りを重ねることで、やがて恋心を育ててしまう。
「童貞だからこそ好きになってしまう」「単純だからこそ恋だと思ってしまう」――そんな姿に、多くの人が自分の青春を重ねるのではないでしょうか。ぎこちなくて、勇気がなくて、でも惹かれてしまう。恋愛の入り口にあるあのむず痒さを、この作品は見事に描き出しています。
下ネタギャグとキャラクターの生き生き感
『B型H系』を語る上で欠かせないのが、数々の下ネタギャグ。山田の暴走トークに親友が鋭くツッコむテンポの良さ、ツッコミ役が不在の時に暴走する彼女の姿、それらはどれも思わず吹き出してしまいます。『生徒会役員共』にも匹敵するほどの下ネタ量でありながら、キャラがきちんと動き、可愛らしさや艶やかさがしっかり描かれているため、不快感よりも爽快な笑いへと昇華されています。
さらに声優陣の演技も光ります。特に田村ゆかりさん演じる山田は、この作品の核といっても過言ではありません。彼女の甘ったるい声質、時に勢いある掛け合い、そして絶妙な恥じらいの表現。これらが山田というキャラクターに厚みを与え、物語を一層魅力的なものにしていました。
まとめ:どうでもいいけど、なぜかクセになる作品
正直に言えば、『B型H系』のストーリーは「どうでもいい」類に入るでしょう。処女を卒業したい山田と、平凡な童貞・小須田のドタバタ劇。ただ、それをどう料理するかにこの作品の魅力が詰まっています。
下ネタ満載のギャグと、初々しい恋愛模様のバランス。そのどちらもが行き過ぎず、絶妙な塩梅で描かれているからこそ、気づけば次のエピソードを観たくなってしまう。ポテチのように手が止まらない、そんな不思議な中毒性を持ったアニメです。
「エロいけど純情」「バカだけど可愛い」。そんな青春の記憶を笑い飛ばしながら懐かしむことができる稀有な一作として、『B型H系』は今なお輝きを放っています。
スタッフ・キャスト
キャスト
スタッフ
- 原作 / さんりようこ
- 監督 / 山本裕介
- シリーズ構成 / 西園悟
- 音楽 / Elements Garden
- アニメーション制作 / ハルフィルムメーカー
(C)さんりようこ/集英社・B型H系製作委員会