映画『ブレット・トレイン』レビュー
作品情報
伊坂幸太郎の「殺し屋シリーズ」の第2作「マリアビートル」を原作にハリウッドで映画化された作品です。
新幹線に乗り合わせた乗客が殺し屋だらけ!
<東京発・京都行き>時速350kmの列車の中で、陰謀渦巻く殺し屋同士の死闘が繰り広げられる。「デッドプール2」のデビッド・リーチ監督、ブラッド・ピット主演の爽快クライムアクションムービー!
キャスト
- レディバグ(てんとう虫) / ブラッド・ピット
不運な殺し屋。いつも事件に巻き込まれ、自分とは無関係な人の死に遭遇してしまう。今回は新幹線内でブリーフケースを奪って降りるだけの簡単な仕事だったのだが、次々に同じ列車に殺し屋が乗り込んで来て列車を降りることができず。。。 - プリンス(王子) / ジョーイ・キング
外見は普通の学生だが、中身は狡猾で悪魔のような性格の持ち主。優れた洞察力と、自分の思い通りに物事が進んでいく”強運”を武器に、列車内をカオスな状態へ導く。 - タンジェリン(蜜柑) / アーロン・テイラー=ジョンソン
レモンとコンビの殺し屋。クールでスゴ腕の殺し屋なのにどこかとぼけている。レモンとは兄弟同然の固い絆で結ばれている。 - レモン(檸檬) / ブライアン・タイリー・ヘンリー
タンジェリンの相棒。子供のように無邪気な性格。「きかんしゃトーマス」の熱心な愛読者であり、出会った人をトーマスのキャラクターに置き換えて判断する。 - キムラ / アンドリュー・小路
息子を屋上から突き落とした犯人を捜すため、列車に乗り込んできた元殺し屋。 - エルダー / 真田 広之
キムラの父親。剣の達人で慎ましく寡黙な男家族を守るという確固たる信念を持っている。 - ホワイト・デス / マイケル・シャノン
世界最大の犯罪者組織のボス。裏社会を支配する冷酷非道な男。 - ウルフ / ベニート・A・マルティネス・オカシオ
メキシコでナンバーワンの殺し屋。復讐するためにレディバグを追ってきた。 - ホーネット / ザジー・ビーツ
乗務員に扮した毒使いの殺し屋。武器は一刺しすれば30秒足らずで全身から出血し死に至る、ブームスラングヘビの毒。
スタッフ
- 監督 / デビット・リーチ
『ジョン・ウィック』『デッドプール2』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』などを監督している。 - 脚本 / ザック・オルケウィッツ
- 原作 / 伊坂 幸太郎『マリア・ビートル』
あらすじ
謎の女性から電話越しにブリーフケースを奪うよう指令を受けた、世界で最も運の悪い殺し屋レディバグ。気合たっぷりに<東京発・京都行>の超高速列車に乗り込むが、それは彼にとって人生最悪な旅の始まりだった。次々と乗りこんでくる殺し屋たちが、全く身に覚えのないレディバグに襲い掛かる。簡単な指令を果たしてすぐ降りるだけの任務のはずだったのに…。時速350kmの車内で繰り広げられる、決死のバトル!予期せぬ最悪が折り重なり、終着点・京都に向けて<絶望>が加速する―。
公式HPより抜粋 https://www.sonypictures.jp/he/2469353
感想
同じ列車に次々に乗り込んでくる殺し屋たちが、度重なる不運に見舞われ状況が状況がどんどん悪くなっていく。ブラット・ピットが演じる「レディバグ」を中心に彼らの行く末を描く、ハチャメチャ爽快殺し屋バトル映画です!
全体的な映画の雰囲気はタランティーノ監督の『パルプ・フィクション』彷彿とさせる印象がありますので、『パルプ・フィクション』が好きという方にはこの映画を楽しめるかもしれません。
原作は伊坂幸太郎の『マリア・ビートル』。殺し屋シリーズの2作目で1作目に登場していた人物も登場するようです。
原作と映画では話の内容が少し異なっていたり省略されていたりするため、原作ファンの方には少し受け入れられない点があるかもしれません。原作も読みたいという方は映画を見た後に読むことをオススメします!
殺し屋たちが魅力的!
この映画の舞台は日本。それも新幹線の<東京発・京都行>です。
しかし、その電車の中はネオンが満載で近未来的なデザインになっており、リアルな日本というよりは『AKIRA』のネオ東京のような感じです。海外で日本が舞台になるときはこうなりがちですよね。
主人公「レディバグ」は不運でさえない殺し屋。内気でネガティブな性格だけど殺しの技術はスゴ腕な主人公ですが、ブラット・ピットが彼を演じることで、原作である少しなよなよとしたイメージはなくなり、ぱっと見は弱そうなのにめちゃくちゃ強い感じは、ブラット・ピットの筋肉質な体と見た目も相まってむしろカッコよさを引き立てています。
コンビの殺し屋。イギリスの紳士的な見た目のタンジェリンとチンピラ風の見た目で黒人のレモン、真逆な感性を持っていそうな2人だけど息がぴったりで、2人の会話の掛け合いを聞いているとだんだんと好きになっていきます。
レモンは『きかんしゃトーマス』の大ファンで、たびたび「トーマス」の話を持ち出してきます。「トーマス」分からない自分には理解が難しかったですが、映画を見ながら「トーマス」を調べてレモンがいっているきかんしゃがどんななのかを調べながら見るのはすごく楽しい時間になりました。
他にもたくさん個性的な殺し屋が出てきますが、彼らの会話を聞いていると、実は過去に接点があったなど設定が明かされてきたりして、映画を見ていると徐々にストーリーが繋がっていきより面白みが増していきます!
かっこよく笑いがるアクション
会話が中心に物語が進んでいくため、ひとつひとつの戦闘シーンが短くあっさりとしたシーンになっているので、本格的にアクションを楽しみたい人には少し物足りなく感じるかもしれません。
ブラット・ピットのアクションはキレがあってカッコイイだけではなく、所々でくすっと笑えるような演技になっています。緊張感のあるようなカットでも笑えるような演技が入っていたりしますが、決して邪魔になるようなことはなく、緊張感があるのに笑えてしまうというアンバランスな感じがクセになる仕上がりになっています。
レディバグの戦闘はいつも苦難が降りかかるが、不運なおかげで乗り切れるてしまうところは小気味いいし、タンジェリンとレディバグが車両内で戦うシーンでは、社内販売員が通るときに一時停止するところなんかはくすっと笑えます。「静かに過ごしたい人専用の車両」で戦う時には、周りに気が付かれないように静かに攻撃しあうところなんかも最高です!
周りの環境に合わせて闘い方を変えさらにコメディ要素を足すことで、列車内のありきたりな戦闘を新鮮に感じさせてくれている印象です!
最後に
一言でいうと「ハチャメチャ殺し屋バトルロイヤル」という感じの映画でした!
ブラット・ピットのちょっとドジな殺し屋は親しみを感じさせ、私には「Mr.&Mrs. スミス」を思い出させるものがありました。
こんかいの銃を使わない戦闘は、想像していたよりも血なまぐさく痛々しいですが、それをコメディ&ポップなテイストで映像としているのでそこまでグロテスクだとは感じずにむしろ面白く見れてしまいます。
物語が進むほどに登場人物どうしが繋がっていき、さらに先を見たくなるそんな作品でした!
映画を見終わった後は、原作小説を読んでみるのもオススメです!