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アニメ

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』レビュー ― モヤモヤと笑いが交錯するラブコメの魅力

男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)
tarumaki

作品情報

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』は、七野りくさんによるライトノベルが原作で、2025年10月にアニメ化が予定されている作品です。そのタイトルが示す通り、「男女の友情」という永遠のテーマを巡って展開する、青春ラブコメディです。

この作品の魅力は、「友情」という建前と、「恋心」という本音の間で揺れ動く二人の、甘酸っぱくて繊細な心情が丁寧に描かれているところです。陽葵のひたむきな努力や、悠宇の鈍感さが生み出すコミカルなやり取りが、読者の共感を呼ぶはずです。

あらすじ

とある田舎の中学校で、ある男女が永遠の友情を誓い合った。

1つの夢に向かい運命共同体となった二人の仲は――特に進展しないまま2年の歳月が過ぎる……!
未だに初恋がこない陽キャ女子・犬塚日葵(いぬづか ひまり)と、
花を愛する植物系男子・夏目悠宇(なつめ ゆう)は、高校2年生になっても変わらず、
二人だけの園芸部で平和に親友をやっていた。

ところが、悠宇が過去の初恋相手と再会したことで、突如二人の歯車が狂い出す!?
果たして恋を知った日葵は〈 理想の友だち 〉脱却なるか?

タイトルから始まる挑発的な問い

「男女の友情は成立する?」。誰もが一度は議論したことがあるテーマを、タイトルでいきなり結論づけてしまう――そんな挑発的な構成から始まるのがアニメ『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』です。
物語は高校生たちの友情と恋愛が入り乱れるラブコメディ。宮崎県延岡を舞台に、地元色やコミカルな小道具(ヨーグルッペ!)を挟みつつ、キャラクター同士の関係性が複雑に絡み合っていきます。序盤は軽快な笑い、後半はシリアスに傾く展開で、視聴者をモヤモヤさせながらも引き込む不思議な魅力がある作品です。

友情と恋愛の境界線で揺れるキャラクターたち

本作の中心にいるのは、花を愛する男子高校生・夏目悠宇と、その親友である犬塚日葵、そして悠宇に恋する榎本凛音。
日葵と悠宇は幼い頃からの仲で、まるで兄妹のように背中にしがみついたり、寄り添ったりする親密さを見せます。しかし、友情なのか愛情なのか、その線引きが曖昧であるがゆえに物語は揺れ動きます。
凛音は幼少期に悠宇に優しくされた記憶から恋心を抱き、何度も告白する健気さとヤンデレ的強さを兼ね備えたキャラクター。彼女の存在が日葵と悠宇の関係に波紋を広げ、さらに兄姉や友人たちが絡むことで人物相関図は複雑さを増していきます。
友情と恋愛の境界線を描くことで、ただのラブコメに留まらない心理的な葛藤が生まれています。

モヤモヤが生むリアリティと笑い

この作品は、視聴者に爽快感を与えるよりも「モヤモヤ感」を楽しませるタイプのラブコメです。日葵の情緒不安定さや身勝手さ、凛音の異常なほどの執着、悠宇の煮え切らない態度。普通ならストレスに感じる要素が、ギャグとテンポの良さによって笑いに変換されています。
特に印象的なのは、日葵が悠宇に「花と私どっちが大事なの!?」と詰め寄るエピソード。嫉妬の対象が人間から花へと移ってしまうという奇妙な展開は、シリアスでありながらギャグとして成立してしまう妙な中毒性があります。
また、キャラクター同士の関係が兄姉や元恋人と複雑に絡み合うことで、後半は昼ドラ的なドロドロ感さえ漂います。だがそれがかえって「次はどうなる?」という好奇心を煽り、最後まで視聴者を引っ張っていく力となっています。

舞台・小道具・テンポが彩る作品世界

『男女の友情は成立する?』の舞台は宮崎県延岡。作中にはバスの行き先や景色など、地元を感じさせる描写が散りばめられており、地方都市のリアルな空気感が物語に厚みを与えています。
さらに、頻繁に登場する「ヨーグルッペ」は宮崎発祥の乳酸菌飲料。視聴者の中には「懐かしい!」と思う人もいるはずで、ちょっとしたご当地ネタとして作品を印象づけています。
テンポの良いギャグも魅力のひとつ。お泊まりエピソードやお風呂シーンでのお兄ちゃん乱入など、王道ラブコメらしいドタバタが随所に散りばめられており、シリアスとの緩急をうまく演出しています。

まとめ:モヤモヤすら愛せる人におすすめのラブコメ

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』は、ストレートな爽快感よりも、むしろ「答えの出ないモヤモヤ」を楽しむ作品です。友情と恋愛の境界を問い続けることで、現実にある人間関係の複雑さや曖昧さを浮かび上がらせています。
確かに展開には不自然さもあり、突っ込みどころも多い。しかし、テンポの良さとキャラクターの愛嬌、そして舞台のリアリティが合わさることで、最後には「見てよかった」と思わせる不思議な後味を残します。
モヤモヤを嫌う人には不向きかもしれませんが、そのモヤモヤこそがクセになる――。そんなユニークなラブコメ作品です。


スタッフ・キャスト

キャスト

スタッフ

  • 原作 / 七菜なな
  • 監督 / 鈴木洋平
  • シリーズ構成 / 八重森のず
  • キャラクターデザイン / 大山夏輝
  • 音楽 / 市川淳
  • アニメーション制作 / J.C.STAFF

(C)2024 七菜なな/KADOKAWA/だんじょる製作委員会

ABOUT ME
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ゲーム制作会社で働いてます。
最新作から過去作まで好きな作品を紹介して、少しでも業界の応援になればと思いつつに書いていこうと思います。 基本的に批判的な意見は書かないようにしています。
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