gtag.js
アニメ

『えむえむっ!』唯一無二の変態ラブコメ、その魅力を徹底解剖

えむえむっ!
tarumaki

作品情報

『えむえむっ!』は、松野秋鳴さんによるライトノベルが原作で、2010年にアニメ化された学園ラブコメディです。

この作品の魅力は、主人公がドMというユニークな設定と、美緒のドSっぷりから生まれるハイテンションなギャグです。ドタバタな日常の中で、太郎は自分の体質と向き合い、美緒との関係を深めていきます。

あらすじ

女性に罵倒されたり嗜虐されたりすると気持ち良くなってしまうという体質に目覚めてしまった砂戸太郎(ドM)。
このままでは普通の恋なんてできるはずがない!

この体質を治すため「生徒たちの願いを叶えてくれる」という第二ボランティア部を訪れるが、そこにいたのは自称・神を名乗る激しく勘違いな美少女・石動美緒(ドS)と、
太郎がドMに目覚めるきっかけとなった結野嵐子(性格不明)だった――。

女の子たちから次々に放たれる試練(快楽)の数々!がんばれ太郎!そこで喜んじゃダメなんだ!!

予想外に胸を撃ち抜かれる変態学園コメディ!

「ドM主人公にドSヒロイン」。この時点で、もう好き嫌いがハッキリ分かれる題材ですよね。昨今のアニメでは暴力系ヒロインは敬遠されがちですが、『えむえむっ!』はその王道(?)を全力で突っ走り、さらにひと工夫加えた快作です。主人公・砂戸太郎は筋金入りのマゾ。そんな彼が“性癖を治すため”に訪れたのが「第二ボランティア部」。そこで出会うのが、ドSお嬢様にして部長の石動美緒先輩でした。竹達彩奈さんの罵倒ボイスが炸裂する美緒は、ただのSキャラに留まらず、時に母性すらのぞかせるギャップの塊。さらにもう一人のヒロイン、結野嵐子は男性恐怖症で、触れられると反射的に殴ってしまうという設定。普通ならただのギャグになりそうですが、この2人の悩みや背景が丁寧に描かれているので、意外にも感情移入できてしまうのです。

最初は「変態アニメだろ」と笑いながら見始めても、気づけば真剣にキャラクターの行く末を追ってしまう…。『えむえむっ!』には、そんな不思議な吸引力があります。

ドSとドMの化学反応、そして真剣なヒューマンドラマ

序盤の見どころは間違いなく第2〜3話。ここでは嵐子の男性恐怖症が深掘りされ、彼女を苦しめていた中学時代の因縁が再登場します。そのシーンで太郎は、ただのマゾではなく“漢”として嵐子を守ろうと奮闘。普段の変態っぷりが嘘のように熱く行動する姿に、視聴者も「お前やればできるじゃないか!」と胸が熱くなるのです。さらにその裏で、美緒がさりげなくフォローしている構図が素晴らしい。単に殴る蹴るのギャグではなく、ちゃんと人間関係の成長が描かれているのがこの作品の強みです。

とはいえ、このシリアス要素は序盤がピーク。その後はどんどんギャグ寄りに舵を切り、発明部の天才少女・柊ノアが登場してからは、ロボバトルやパロディ全開のドタバタが加速します。主人公が“変態パワー”で覚醒する展開なんて、もう突っ込みどころ満載。でも、この振り幅こそが『えむえむっ!』らしさ。重たいテーマを深追いしすぎず、バランスよく笑いに落とし込んでくれるのです。

個性の暴走!キャラクターたちの強烈すぎる魅力

『えむえむっ!』の真骨頂はやはりキャラクターの濃さ。美緒や嵐子といったヒロインはもちろん、脇役までとにかく印象が強烈です。

石動美緒:毎回違うコスプレ衣装で登場し、罵倒とツンデレと母性を自在に行き来するドS会長。竹達彩奈ボイスで罵られたくなる視聴者が続出したのも納得です。
結野嵐子:男性恐怖症ながら、太郎の誠実さに触れて心を開いていく姿が健気。声を演じる早見沙織さんの清楚な演技が光ります。
葉山辰吉:太郎の親友で女装すると美少女に。褒められると逆にSっ気が出るという斜め上の性癖持ち。
砂戸静香(姉)&智子(母):太郎に対して異常なまでの愛情を注ぐ家族。ここは正直やりすぎ感もありますが、作品のカオス度を爆上げしています。
柊ノア:IQ200超えのロリ天才。全人類変態化計画を掲げ、作品を一気にギャグアニメへと引きずり込む張本人。矢作紗友里さんの快演で暴走感MAX。

誰一人として没個性なキャラがいないのが驚きです。むしろ「属性のデパートか!」と言いたくなるほど盛り込まれていますが、不思議とゴチャつかず、それぞれの立ち位置が明確。テンポよく絡み合う掛け合いが本当に楽しいのです。

音楽と演出に隠された遊び心

忘れてはならないのが、オープニングとエンディングの仕掛けです。『HELP!! -Hell side-』と『HELP!! -Heaven side-』という2種類のOPは歌詞こそ同じですが、歌唱や映像が全く異なり、地獄と天国の対比を楽しめる作り。前半の地獄感たっぷりな映像で太郎が痛めつけられる様子に笑い、後半の天国版でヒロインたちがアイドルのように微笑む姿に癒される。このギャップが作品全体のスタイルを象徴しているように思います。ED『More-more LOVERS!!』では、ヒロインたちの可愛らしいダンスとコスプレが全開。ギャグと萌えの両立を体現した楽曲になっています。

まとめ:変態と愛と笑いが詰まった唯一無二のアニメ

『えむえむっ!』は、人によっては「下ネタ」「暴力系ヒロイン」というラベルだけで敬遠されてしまうかもしれません。しかし一度腰を据えて見てみると、その中にはしっかりとキャラクターの成長や人間関係のドラマがあり、同時に突き抜けたギャグと変態性が炸裂する、非常にユニークな作品だと気づきます。

真剣なドラマを描きながらも深刻になりすぎず、むしろ「変態って最高!」と笑い飛ばしてくれる潔さ。この作品を見終えたあと、誰もが少しだけマゾ心を理解してしまうのではないでしょうか。私自身も視聴中に「Mも悪くないかも…」と危険な扉を開きかけました。

笑い、萌え、シリアス、そして変態。そんな全部入りのカオスを楽しめる人には、間違いなくオススメできる一本です。


スタッフ・キャスト

キャスト

スタッフ

(C)2010 松野秋鳴・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/えむえむっ!製作委員会

ABOUT ME
tarumaki
tarumaki
ゲーム制作会社で働いてます。
最新作から過去作まで好きな作品を紹介して、少しでも業界の応援になればと思いつつに書いていこうと思います。 基本的に批判的な意見は書かないようにしています。
記事URLをコピーしました